初恋ディジー

電車に乗ること数十分。

ようやくあたしの家の最寄り駅に到着すると、榛名くんも一緒に電車を降りる。


「本当に通り雨だった」


改札を出ると雨はすでに降り止んでいて、空にも青空が戻ってきていた。


「ここまで来てくれたのにすっかり雨止んじゃってる……手間掛けさせてごめんなさい」


「俺は雨が降っていようと止んでいようと、最初から佐脇さんを送るつもりだったから。ほら、帰ろう」


榛名くんがそう言って歩き出した時。


「……あ、ちょっと来て」


すぐに立ち止まり、振り返りながら私を手招きした。
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