初恋ディジー
「何か凄い得した気分しない?」
「うん、する」
まだ微かに湿り気を帯びた風が、優しく頬を撫でる。
「……同じ空の下で生きてるって言っても、やっぱりちょっと違うか」
まただ。
さっきと同じ顔……
何処か切なくて、遠くを見ている感じ――…
“ピピピピピッ”
突然鳴りだした携帯に、榛名くんは見上げていた顔を下におろす。
「――ちょっとごめん」
ポケットから取り出した携帯の画面を見つめるなり表情を変え、水たまりを避けて離れた場所に立つとその電話に出た。