初恋ディジー

「ごめんね、待たせて。 ……実は用事が出来ちゃって、今すぐ帰らなきゃいけなくなっちゃったんだ」


そう言って携帯をポケットにしまう。


「あ、そうなんだ……じゃあ、早く帰らないと!」


「家まで送るって言ったのに……」


「気にしないで。ここまで送ってきてもらっただけでも嬉しいから。ありがとう」


「本当にごめん!それじゃあ、また学校で」


私がそう言うと、申し訳なさそうに帰っていった。


由香里ちゃんの時みたいに、凄く呼び慣れた感じだったな……


次第に小さくなっていく彼の背中を見つめながら、私の心の中に複雑な感情が湧き上がっていった。
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