初恋ディジー
「位置に着いて――よーい、スタート!」
掛け声と共にピストル音が響き渡る。
それを合図に最初のグループがグラウンドを走り抜けていく。
私は10番目。
まだ少し余裕があるなんて思っていたけれど自分の番はすぐにやってきた。
「麻有、ガンバ!」
12番目の希沙ちゃんと最終グループのさくらちゃんは、余裕の顔で先に走る私に応援の声をかける。
緊張して今にも倒れそうな勢いだけれど、これを走り終えれば苦手な種目が終わる。
「うん、頑張る」
苦笑いで答えると、位置に着いた。