初恋ディジー
“パーン”
勢いよくピストルが鳴り、私は力一杯踏み切った。
けれど予想以上に周りの子たちが速すぎて、ついて行くのがやっと。
「……っ、」
置いて行かれるのは目立って恥ずかしい!と私も必死に走る。
この100メートルという距離が、とても長く感じた。
「はい、5番ね」
ゴール先で召集係にそう言われた後、“5”と書かれた緑の旗の列に並ばされた。
「ビリ2だ」
と呟きながらそこに腰を下ろす。
まあ、最後じゃなかっただけでもいいか……
私は緩んだハチマキを結び直しながら、後から走ってくる二人を待つ。