初恋ディジー
「今日の麻有、笑ってても全然楽しそうに見えない。
何があったの?こういう時、大抵麻有は何かを隠してるんだから」
「そうだよ、麻有。一人で何を抱えてるのか話して」
希沙ちゃんとさくらちゃんが、心配そうにこっちを見てくる。
口にしなくても、二人には全部分かっちゃうんだね。
「今は言えない……だけど体育祭が終わったら全部話すから。それじゃあ、ダメかな?」
「――分かった。今日の放課後全部聞くから。……そろそろ戻ろう」
希沙ちゃんはさくらちゃんの肩を押して、応援席の方へと戻らせる。
二人の後姿を追いながら、“ごめん”と心の中で声をかけた。