初恋ディジー
――――そして運命の時。
全学年一クラスずつから選ばれたリレーの選抜選手が入場門から入場する。
「あ、ほら。あそこに榛名くんいるよ!」
とさくらちゃんが指差した先には、白のハチマキをした榛名くんの姿。
そしてその隣りには高木くんの姿も。
「きゃあっ、榛名くんっ!」
「紫苑、頑張れ~っ!」
何処からともなく飛び交う、二人を応援する女子の黄色い声。
「あの二人、どっちが足速いんだろう?」
「見た感じじゃ紫苑の方が速そうだけど、榛名くんも短距離のタイム速いらしいしね」
周りの女子たちの会話を盗み聞きしながら、私は二人をじっと見つめる。