初恋ディジー
「……榛名」
さっきまで皆に囲まれていた榛名くんが、高木くんの名前を呼びながら彼の前までやってくる。
そして、
「いい勝負だったと思うよ。あんなに本気で走ったの、生まれて初めてかもしれないし」
と高木くんに手を差し出した。
「……ったく、スカしてんじゃねえよ!」
そう言いながらも榛名くんの手を掴むと、地面から起き上がって砂をはたく。
「俺は本気で走ってお前に負けた。 ……だから、勝負はお前の勝ちだ」
フッと鼻で笑い、榛名くんの肩を軽く叩いた。