初恋ディジー
「……え?」
用を済ませて立ち去ろうとした私の背中に向かって、榛名くんはそう聞いてきた。
立ち止まって振り返る。
「聞いてたんでしょ?さっきの告白」
私達が居たことに、どうやら気付いていたみたいだ。
「ご、ごめんなさいっ!」
頭を深々下げて彼に謝る。
「別に聞かれて困るようなことじゃないから、謝らなくてもいいよ」
そう言われて顔をあげると、榛名くんは傍の壁に寄り掛かりながら足元にあった石を蹴飛ばす。
「冷たい態度を取れば“冷たい”、優しくすれば“優しすぎる”って……。じゃあ、どうすればいいんだよ。本当女の子の扱いって難しいわ」
髪をクシャッと握り、榛名くんはまた深い溜息をついた。