初恋ディジー
屋上のドアが開き、その向こう側から榛名くんが姿を現した。
私は慌てて手を引っ込め、少しだけ彼から距離を取る。
「あれ?佐脇さん何でいるの?」
「えっと……」
「俺は高木に呼び出されて来たんだけどアイツいないじゃん。
……でもちょうど良かった。呼びだす手間が省けたし」
榛名くんは屋上を見渡しながらそう呟いて、笑みを漏らした。
「体育祭が終わったら、佐脇さんに伝えたいことがあったから」
といつもとは違う瞳を向けて。