初恋ディジー

屋上のドアが開き、その向こう側から榛名くんが姿を現した。


私は慌てて手を引っ込め、少しだけ彼から距離を取る。


「あれ?佐脇さん何でいるの?」


「えっと……」


「俺は高木に呼び出されて来たんだけどアイツいないじゃん。

……でもちょうど良かった。呼びだす手間が省けたし」


榛名くんは屋上を見渡しながらそう呟いて、笑みを漏らした。


「体育祭が終わったら、佐脇さんに伝えたいことがあったから」

といつもとは違う瞳を向けて。


< 293 / 393 >

この作品をシェア

pagetop