初恋ディジー


「えっと……ごめんなさい。

私、人を好きになったことがないからそういうのよく分からなくて……」


何か気の利いた言葉をかけてあげたかったけれど、経験がないから出来なかった。


「告白されたこともないの?」


「あ……ハイ」


いつも希沙ちゃんの後ろに隠れてたから、徹くん以外の男の子にはめっきり免疫がない。


「ふうん、そっか……。じゃあ、難しい質問だったね。これ、ありがとう」


ハハッと乾いた笑いを漏らしながら中庭から離れて行く彼を見て、何故か私は、自分のことのように胸がギュッと痛くなった。

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