初恋ディジー

まだ10分足らずだと言うのに

これだけの量を写し終えるはずがない。


「字は汚いけどね。 ……元気そうで良かった」


席を立ちあがると、ノートを片手に抱えて“じゃあ”と去っていく。


「榛名くんっ!」


何だか分からないけど胸騒ぎがして、図書室だと言うことも忘れて思わず大声で名前を呼ぶ。


するとドア付近で彼は立ち止まった。


当然のことながら周りから痛い目で見られる。



「ご……ごめんなさい」

と肩を竦める。
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