初恋ディジー


“シー”

と口元に人差し指をあてて笑うと、榛名くんはそのまま図書室から出て行ってしまった。



“元気そうで良かった”

そう言った榛名くんの顔。


あの時と同じ切なげな瞳が気になって仕方ない。



「――――ッ!」



この胸騒ぎが何なのか確かめたくて

筆記用具をまとめてその後を追う。



「ま……待ってっ」


私はやっとの思いで追いついた彼に手を伸ばし、腕を掴んで引き止めた。
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