初恋ディジー
――キーンコーン
カーンコーン
放課後の教室にチャイムが響く。
夕焼けの太陽が榛名くんの髪を少しだけ明るく照らしていて、目を奪われる程綺麗で。
「……入学式の日、」
すると、しばらくじっと窓の外を眺めていた榛名くんが静かにその口を開いた。
「この教室に一番に来た俺は、自分の席でもないくせにこの席に座って次々と登校してくる同じ新入生をずっと見てたんだ。
“この中の誰かと同じクラスになるんだ”って……その時にさ、あの桜の木の真下で初めて佐脇さんを見たんだ」
「え……私?」
それまで黙って彼の話を聞いていた私は、話の中に自分が出てきて思わず声をあげる。