初恋ディジー

「いつの間にか自然と目で追うようになってて“ああ、俺はこの子が好きなんだ”って気付いたんだ。

――だけど、」


そこまで言って榛名くんは、そっと椅子から立ち上がってまた窓の外へと視線を向けた。


「中学の頃から決めてたんだ。絶対に誰とも付き合わないって」


“別に女嫌いってわけじゃないみたいなんだけど、誰とも付き合う気がないみたいなんだよね”


榛名くんの話を聞いて、崎本くんがいつだかそう言ったことを思い出す。


「だから佐脇さんへの想いに気付いた時ちょっと戸惑ったりもした。一緒に居たらもっと好きになる、離れられなくなるって……」


「どうして……誰とも……」


そう聞くと、榛名くんは誤魔化すように笑顔を浮かべた。
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