初恋ディジー

家の方がバタバタしてたって、引っ越しの準備だったんだ。


――千葉なんて、遠すぎる


新幹線と電車を使って、片道2時間はかかる距離。


「本当はここに来るつもりはなかった。だけどどうしても最後に佐脇さんの顔が見たかったんだ」


「榛名くん……」


「……何で、泣くの」


「だ、だって……」


目から零れ落ちる粒。


止めようと思っても、離れてしまう辛さから

その涙は止め処なく溢れる。
< 321 / 393 >

この作品をシェア

pagetop