初恋ディジー
「渡そうと思って結局渡すのを諦めた物みたいだから、かなり早いけど私が代わりにあげる。空き家になった部屋で見つけたの」
突然その箱を投げられ、落とさぬようにしっかりと受け止める。
「ちゃんと渡したからね!お礼はちゃんと本人に言うこと!」
満足気に言うと由香里ちゃんは先にひとり、校舎の中へと戻ってしまった。
反射的に受け取ったものの、訳が分からない。
「開けて、いいのかな?」
綺麗にラッピングされた箱をゆっくりと開け、その中を確認した途端、嬉し涙と笑みが同時に零れた。
――ありがとう、
そう心の中で呟いた。