初恋ディジー

バタバタと階段を駆け下り

1階の一番奥に位置する家庭科室のドアを開けると


「あっ、二人とも遅い!」


先に来ていた希沙ちゃんが、あたし達に気付いて“コッチ”と手を振る。


「ごめん、ごめん。麻有の用事に付き合ってた」


席に着くなり、すぐさまエプロンを付けたさくらちゃん。


――私達が取っているのは家庭科だ。


「麻有の用事って?」


トイレで席を外していた希沙ちゃんは、私が榛名くんに傘を借りていたことを知らない。


「えっと――…」
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