初恋ディジー

「榛名くん」


久しぶりに本人を前にして名前を呼ぶ。

普段の会話の中で何度か口にしているのに、とても懐かしく思える。


「ひとりでこんな所に居たら危ないじゃん」


榛名くんは少し強い口調で言った。


「ごめんなさい。初めて来たものだから吊り橋を渡ってみたくて……」


「暗くなるとタチの悪い連中が集まるから、気をつけなきゃダメだよ」


信じられない。


――もう、会えないかと思ったのに。


最後に会った時よりも焼けた肌。

少しだけ痛そうに見える。
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