初恋ディジー

何とか踏ん張って転ぶことはなかったけれど、気をつけないとまたフラつく。


「ヒールのある靴なんか履いてくるからそうなるんだよ。危ないから吊り橋渡るまで手、繋いで」


振り返った榛名くんは手を取ると、私の歩幅に合わせてまた歩き出した。


「……っ」


久しぶりに触れた優しい手の温もり。


会いたくて会いたくて、たまらなかった。


私は手に少し力を入れる。

すると榛名くんも応えるようにさらにギュッと掴んだ。


「榛名くん」


つり橋を渡り終え、浜辺の方に向かおうとしたところで私は名前を呼んだ。
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