初恋ディジー


「えっ、何でそれっ!」


ピアスを見た途端、驚いた様子で声をあげるのも無理はない。


あげようと思って渡さなかったそれが、今こうして私の手元にあるのだから。


「由香里ちゃんが言ってた……榛名くんが用意していたものだって」


「……アイツ、余計なことを」


そう呟いた後、榛名くんは言葉を続けた。


「何で付けてるの?振ったやつから貰ったものをさ。俺のこと、好きじゃないんだろ?」


「――…き……、あの時は恥ずかしくてどうしたらいいのか分からなかった……だけど本当はずっと言いたかったの――榛名くんが好きっ……大好き」


きっと大好きという言葉だけじゃ足りない。
< 364 / 393 >

この作品をシェア

pagetop