初恋ディジー

「線香花火じゃないんだからもっと楽しもうよ」

とあたしに火を向ける。


「きゃっ……危ない……」


「本気で狙ってないから大丈夫だって。一瞬ビクッとしたでしょ」


「……もう、榛名くんヒドイよ」


自然と笑みが零れる。


「――やっと笑った」


「え?」


「今日、まだ一度も笑顔を見てなかったから」

と榛名くんは言う。


私を笑わせる為に、ワザと花火を向けたのだと知る。
< 367 / 393 >

この作品をシェア

pagetop