初恋ディジー

悠長に花火なんかしていられるはずがない。


告白の返事が気になって、花火の綺麗さも分からない。


「……嫌いになったのなら好きじゃなくなったのなら、ハッキリ言ってくれていいの。覚悟は出来ているから」


火が消えたのを見計らって榛名くんに言うと、まだ消えていない花火を水につかした。


「覚悟って何の覚悟?」


「え……、だから振られる覚悟を――…」


返事を躊躇っているのは、どうやって振ろうか考えているからでしょう?


でも榛名くんはその予想に反することを口にした。



「そんな覚悟、必要ないから」



――――え?
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