初恋ディジー

気が付いた時には既に

私は彼の腕の中に居た。


「はる――…えっ……?」


突然すぎて言葉にならない。


耳に聞こえるのは打ち寄せる波の音と、吹きつける風。


――そして、榛名くんの心臓の音


深く静かに、けれど少し早く脈を打っていた。


それがとても心地よくて、安心する。


身体を寄せていると、頭の上から榛名くんの声が降ってきた。


「俺の心臓の音、聞こえる?」


「……うん」


もっとこうしていたい。

……離れたくない。
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