初恋ディジー

「耳開けてないって分かってるから、無理にとは――…」


「うん、いいよ」


「……え?いい、の?」


「だって佐脇さんだって、俺の為に耳開けてくれたんだろ?だったら俺も開けなきゃじゃん――彼氏なんだし」


“彼氏”――…

慣れない響きにドキッとする。


……もう、榛名くんの彼女なんだ。


「あ、そうだ。これを忘れちゃダメだよな」


榛名くんは手を離すと、打ち上げ花火を手に取る。


「元はこれを一緒にやるって決めてたんだし」

と火を点けた。
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