初恋ディジー

でも、ワガママは言っちゃいけない。


榛名くんを困らせるだけだし、帰らなきゃいけないんだもの。


バス停に着き、誰もいないベンチに腰掛ける。


最終バスはもうすぐ。

刻々と迫る別れに、繋いだ手に力が入った。


「声が聞きたくなったら電話して。会いたくなったら会いたいって言って」


「迷惑しない?」


「言ってもらわないと俺が不安になんの!その代わり、俺も電話するしメールもする。いつも近くに佐脇さんを感じられるからさ」


「……う、うんっ……電話する……メールもいっぱい……する」


「うん、して」


涙が滲んだ。
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