初恋ディジー

バスが発車し、バス停からどんどん遠ざかっていく。


小さくなっていくその姿を、じっと窓から見つめる。


榛名くんはバスが左折して見えなくなるまで、手を振っていた。


「……あ、写真……」


二人で写真を撮ろうと思っていたのに

結局そんなこと、すっかり忘れていた。


でも、大丈夫。

撮ろうと思えばいつだって撮れるから――…


信じてみて良かった。

だって信じなければ、私たちが結ばれることはなかったんだし……


「そうだ。みんなにちゃんとお礼言わなくちゃ」


携帯を取り出し、一斉送信で榛名くんと付き合うことになったことを報告した。
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