初恋ディジー
希沙ちゃんは一番右端に置いてあるラッピングされたクッキーを手に取った。
「これって一体誰にあげるわけ?」
「えっ!な……何で?」
聞かれるとは思わなかったから、心臓がピクンと跳ねた。
「これだけ何か違くない?」
他のものを見比べ、明らかにひとつだけ量が多いそれをプラプラと揺らす。
「えっと、それは……榛名くんに――…」
「え?榛名くん?麻有……やっぱりアンタ榛名くんのこと?」
「ち……違うよっ……これはそういうんじゃなくて、傘を貸してもらったお礼。借りを作ったままじゃ嫌だから……」
別に好きとかそういう気持ちじゃなくて、ただ自分が出来るお礼をしたかっただけなんだ。