初恋ディジー


「さっきだよ」


袖を掴む彼女の手を、榛名くんはそう言って離す。


「何それ、聞いてない!」


「何でいちいち由香里に話さなきゃならないんだよ」


「それは、そうだけどっ……」


グッとブラウスを握り、言葉を詰まらせる。


「なんだよ?もしかして食べたかったのか?それだったらまだ余ってるよ。

佐脇さん、さっきのコイツにも分けてやってもいい?」


「……あ、それだったら自分の分が少しだけ余っているから、よかったらそれを……」


そう言うと、由香里さんの顔つきが明るくなった。

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