初恋ディジー
「麻有ちゃんちってどこなん?」
「学校から北に向かった方だよ」
「え、マジ?!じゃあ、俺と反対方向じゃんか」
靴を履き替え、少し乱暴に下駄箱を閉める崎本くん。
「暁、麻有ちゃんを家まで送ってってやれよ。どうせチャリで来てんだろ?」
「あー、うん……佐脇さんさえ良ければニケツしてくけど」
隣りの下駄箱で同じように靴を履き替える榛名くんが、ポケットから自転車の鍵を取り出した。
に……ニケツ……?!
「――ッ、それは無理ですっ……」
首を左右に激しく揺らしながら、それを拒否する。