初恋ディジー


「麻有ちゃんちってどこなん?」


「学校から北に向かった方だよ」


「え、マジ?!じゃあ、俺と反対方向じゃんか」


靴を履き替え、少し乱暴に下駄箱を閉める崎本くん。


「暁、麻有ちゃんを家まで送ってってやれよ。どうせチャリで来てんだろ?」


「あー、うん……佐脇さんさえ良ければニケツしてくけど」


隣りの下駄箱で同じように靴を履き替える榛名くんが、ポケットから自転車の鍵を取り出した。


に……ニケツ……?!


「――ッ、それは無理ですっ……」


首を左右に激しく揺らしながら、それを拒否する。

< 86 / 393 >

この作品をシェア

pagetop