初恋ディジー

6月に入って暖かくなってきた為、今はブラウス一枚のみでベストは着用していない。


だから雨に濡れれば、当然ブラウスが透けてしまう。


「それは困るだろ?だから使いな」


そうニッコリ笑うと、榛名くんはバッグを背負った。


「じゃあ」

と言って濡れることを気にも留めず、雨の中を走って行く。



「大丈夫かな……風邪、ひかないといいけど……」


彼から渡されたブルーの折り畳み傘を広げ、私は彼に申し訳なく思いながらゆっくりと学校を後にした。

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