初恋ディジー


「好きっていうのはそう意味じゃなくてっ……

人間としていいなあっていうか、えっと、その……」


次第に頭の中が混乱してきて、何が言いたいのか分からなくなってきた時、


「そんなに慌てて弁解しなくても、ちゃんと分かってるから」


“プッ”と今にも吹き出すような感じで

榛名くんがあたしの顔を見て笑った。


――ああ、またからかわれたんだ。


「……笑い上戸な上に少し意地悪な人だったんだね。

まるで人のことをワザと困らせて楽しんでるみたい」


少し不貞腐れながら、片方の手で制服のスカートをギュッと掴んだ。
< 98 / 393 >

この作品をシェア

pagetop