初恋ディジー


「これが本当の俺だよ。今度こそガッカリした?」


「……別にそんなことはない……と思う」


確かに意地悪なところはあるけれど、それ以上に優しい一面も持っている人だって分かっているし。


「じゃあ、いいじゃん。ほら、早く帰らないと暗くなるからそろそろ行こう。家、どっち?」


「あ……このまま突き当りを真っすぐ……」


榛名くんは私が掴まったのを確認すると、再び自転車をこぎ出した。



「それにしても、ほんっと山だよな~」


「うん、そうだね」


いつも通る通学路は、榛名くんと二人っていうだけで何だか少しだけキラキラと輝いて見えたんだ――…
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