使命
俺はクロがいなくなってから、がむしゃらに使命を果たし続けていた。

消す
  消す
     ―消す

対象の存在を殺す。

なかったことにする。

一心不乱に主の命を遂行している筈なのに、ちらつくのはクロの言葉。

『消されていく子達の気持ちを考えたことがある?』

『私は、この使命が嫌いだよ』

消えろ、消えろ、消えろ


こんな、こんな考え
消えてしまえ



クロは消えてしまった
クロは自分自身を嫌っていた
クロは使命を疎んでいた
あいつは―

…もう、使命を果たさなくていいんだ。

持って生まれた柵(しがらみ)に囚われず、自由を得たのだ。


クロは、今、何処で何をしているだろうか。

いつかまたー…、
逢えるだろうか。


心のどこかでそう想いながら俺は今日も消し続ける。
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