愛情狂現-2人の日常-



私の手首と秋の手首が、手錠で頑丈に止められている。


・・・・・・いつの間にこんなものを・・・・・・。



立ち上がろうとしたことに気付いた秋が、ニッコリと笑って尋ねる。


「あれ、どこ行くの?」


「あれ、」と「どこ」の間に『僕から離れて』って言葉を入れれば、その笑顔の意味も理解できる。


うーん・・・・・・これは時間がかかりそうだ。



「私、買い物に行きたいから鎖とってくれない?」


「ヤダよ。外には危険がいっぱいなんだよ?春一人で外出するなんて危なすぎるもん」


「じゃあ秋も一緒に行こう?」


「暑いからやだ」


ふいっと顔を背け、子供のようにツンと澄まし顔をする。


いや、この人、心は子供のままなんですよ。


< 7 / 50 >

この作品をシェア

pagetop