愛情狂現-2人の日常-
私の手首と秋の手首が、手錠で頑丈に止められている。
・・・・・・いつの間にこんなものを・・・・・・。
立ち上がろうとしたことに気付いた秋が、ニッコリと笑って尋ねる。
「あれ、どこ行くの?」
「あれ、」と「どこ」の間に『僕から離れて』って言葉を入れれば、その笑顔の意味も理解できる。
うーん・・・・・・これは時間がかかりそうだ。
「私、買い物に行きたいから鎖とってくれない?」
「ヤダよ。外には危険がいっぱいなんだよ?春一人で外出するなんて危なすぎるもん」
「じゃあ秋も一緒に行こう?」
「暑いからやだ」
ふいっと顔を背け、子供のようにツンと澄まし顔をする。
いや、この人、心は子供のままなんですよ。