心はいつも、貴方とともに
*
「何か御用ですか。」
「なんだ、その不機嫌そうな口調は。」
くるりと椅子ごと振り返ったランバートは、明らかに面白がっている様子だった。
あぁ、この人はまた何かすごいことを言うんだろうな。
もはや、彼に持っていた『クール』というイメージは崩れ去った。
「ミアは元気か?」
「先程お会いになったんじゃ?」
「俺の前では元気さ。
でも、普段はどうかと思って。」
そういう顔は、やっぱり兄の顔だった。
無茶なことをふっかけつつも、やっぱり妹が大切なんだな。
ふっとジークの頬は緩んだ。
「はい、だいぶ心を痛めておられるようですが、お元気そうです。」
「そうか。
…自殺を仄めかしたりはしてないだろうな?」
とんでもない言葉が飛び出した。
ジークは思わずランバートを二度見してしまった。
「なんですって!?」
「だから、バルコニーから身投げしそうになったり、刃物を隠し持っていたりなんてしないよな?」
「私が知る限り、ないと思いますが…。」
何かあったんですか?と思わず詰め寄った。
「いや、そうでないならいいんだ。」