心はいつも、貴方とともに
明らかに、ランバートは隠し事をした顔になった。



「王子。」


「いいんだ、ジーク。」



眼差しに押されて、何も言えなくなる。



それにしても、どういうことだろう。



自殺だなんて…。



あの明るいアミリア様が、死を考えている?



悶々と悩み始めたジークに、ランバートは険しい顔で詰め寄った。



「忘れろ、ジーク。
俺はミアがストレスで何とかなってはないかと心配しただけだ。」


「…はい。」


「ご苦労。」



もう、ランバートはジークを拒否した。



くるりと椅子を回し、出ていけと合図する。



ジークは胸に何かが引っ掛かるように思いながらも、一例して執務室を出た。



外では何も知らないアミリアが待っている。



「お疲れ様です。
お兄様の相手は何かと疲れるでしょう?」



屈託のない笑顔に、ジークもつられるようにして微笑んだ。



「いいえ、王子と直に話ができるなんて、光栄です。」


「…本音を言っても、秘密にしますよ?」



きらりと瞳の奥に見える、悪戯そうな光。



それを見ると、あぁこの人は王子の妹なんだなと改めて認識する。



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