心はいつも、貴方とともに
「お待たせしました、行きましょう。」



アミリアは、はいと大人しく歩き出した。



その後ろ姿を見て、ランバートの言葉を思い出す。



自殺、だなんて…。



姫、何を考えていらっしゃるのですか。



アミリアが振り向いて、いつまでたってもついてこないジークを心配そうに窺った。



「どうかされましたか?」


「…いえ。」



今、俺は笑っているんだろうか。



心配をかけてやしないだろうか。



「姫。」


「はい?」


「何か、心配事があれば、私にご相談ください。」



見つめると、アミリアはきょとんとした顔でジークを見上げた。



「あ、いや、出過ぎたことを申し上げました…。」



かあっと頬が火照る。



何を言ってるんだ、俺。



アミリア様は、さっきのやりとりと知らないのに。



こんなの、ただの出しゃばりじゃないかっ。



頭を掻きむしりたいほどの後悔に襲われていると、アミリアがそっとジークの手を取った。



「ありがとうございます。
でも、貴方が私の隣にいてくれるだけで、心が休まるんです。」



ありがとう、とアミリアは今まで見せたことのないような、悲しそうな顔で笑ったのだった。











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