心はいつも、貴方とともに
あぁ、もういいや。



今日だけ。



今だけだから、精一杯恥ずかしいことをしてもいいじゃない。



ジークも拒否はせず、さらに抱きしめてくれさえした。



アミリアもそっと抱きつく。



「ありがとう。」


「いえ…。」



何も、音はない。



息遣いが妙に大きく聞こえた。



「あの、お願いがあるんです。」


「はい。」


「…アミリア様、とか。
姫、とか。
そういうの、止めてくださいませんか?」


「はい?」


「勝手な、我がままなお願いだとわかっています。」



不思議そうに、ジークは身体を離す。



部屋には、小さなろうそく一本しか灯っていない。



ジークの顔が、よく見えなかった。



「それは、どういう…。」


「私も、ジーク様とお呼びするのはやめます。
そして、貴方の前では、姫はやめます。」


「あの…。」



口ごもるジークに、アミリアも恥ずかしくなってきた。



勢いで言ってしまったが、やはり姫としてどうだったんだろう…。




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