心はいつも、貴方とともに
そういえば。



「お兄様も、こんな肩だった…。」



ずっと昔。



一緒に庭で遊べる時間がまだあった頃。



よく肩に担いでもらって、遊んだ。



もう、何年も前のことだ。



記憶すら曖昧になるくらいに。



遠い目をしたアミリアを、ジークは優しく見守る。



はっと我に返り、アミリアは微笑んだ。



「そろそろ、お部屋に戻られては?」



あまり長いすると、ジークはいびられかねない。



いや、兄ならやるだろう。



その気遣いに聡いジークは気づいたのか、素直に立ち上がった。



「はい、失礼します。
…また、明日の朝に。」


「はい、明日。」



ジークは律儀に礼をしてから、背を向けた。



その背中が、いつもよりも愛しく見える。



ジークが扉に手をかけたとき、無意識に言葉が飛び出した。



「あのっ!」


「はい?」



首を傾げて、ジークが振り向く。




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