心はいつも、貴方とともに
「失礼します。」



なかなか出てこないアミリアを不審に思ってか、ジークは遠慮がちに中に入ってきた。



しかし、どこかその顔には悪戯な表情が浮かんでいる。



その顔を見て、あぁ昨晩はとんでもないことが起こったんだったと思い出す。



「姫、眠れなかったのですか?」



茶化すように、ジークは問いかける。



しかし、アミリアの様子をみて、いつもの真剣な表情に戻る。



「どうか、しましたか。」



じっと組んだ手を見つめているアミリアの顔をそっと持ち上げ、無理やりに視線を合わせる。



「アミリア。」



心配そうなジークを安心させようと、アミリアは微笑んで見せた。



「別に、何も。
少し、疲れただけです。」


「…嘘だ。」


「私が、本人が言っている…。」


「嘘だ。
言ったはずだ、俺はずっと貴方を見てた。
表情の偽りくらい、見抜いて見せる。」



馬鹿にするな、と憤りを抑えた声で、ジークはつぶやく。



「昨晩のことですか。
俺が、調子に乗って余計なことを言ったから?
なんなら、忘れていただいて結構です。」


「そういんじゃないわ!
そういうこと、言わないで。
忘れなんか、しないから。」



ジークにつられて、アミリアも荒れた口調になった。



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