心はいつも、貴方とともに
とうとう、時が来た。
朝食を食べ終わり、ジークと雑談をしていると、ダニエルが迎えに来た。
振り返るジークの顔は険しい。
アミリアは思わずジークの手を強く握った。
ジークは驚いたようにアミリアを振り返る。
「行ってきます。」
真っ直ぐに目を見つめると、ジークはなんとか笑ってくれた。
彼の精一杯の虚勢なんだろう。
「…待ってる。
後ろで見守ってるから。」
こくんと頷きながら、心が痛んだ。
私は、あの人をもだましている。
愛している人なのに、重大な秘密をかくしている。
「姫。」
ダニエルはいつも通りに優雅な手つきでアミリアをエスコートした。
示される方に歩き出してから、アミリアは後ろを振り返らなかった。
「アリソンは?」
人気がなくなってから小声で問うと、ダニエルは抑えた声で答えた。
「ひどく取り乱していらっしゃいましたが、今はなんとか。」
「そう。
会ってもいい?」
「はい。
王子と一緒にお待ちです。」