心はいつも、貴方とともに
実際に、もし自分なら、自分を思い出したときには微笑んでいてほしい。



妹がそう思っているかは知らないが、死人から意見を聞くことはできないので想像に任せるしかない。



ランバートは複雑そうな顔をした。



「…時が解決するかな。」


「そう願いましょう。」



言って、アミリアは兄の手を取った。



ゴツゴツよ骨ばった手がいつもアミリアに安心を与えてくれるように、アミリアも今はランバートにそれを与えたかった。



ランバートはそんなアミリアを見て、笑った。



「ミアに励まされるなんてな。
普通は役割が逆なのに。」


「たまにはいいではないですか。」



そうだな、と呟いたランバートは、肩の力を抜いているように見えた。



その様子にアミリアは嬉しくなる。



少しでも役に立てた気がした。



「さて、と。
こんなところで油を売ってないで、執務に戻らなきゃな。」


「相変わらずお忙しいのですね。」


「まあな。
一応、国王代理だしな。」



その言葉に、アミリアは表情を曇らせた。



今、父王の容体が悪くなっているのだ。



少し前から疲労で身体に限界が来ていたらしいのだが、いよいよ今、本格的に体調がわるくなってきている。



そのため、今はほとんどの仕事を兄のランバートがこなしている。



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