心はいつも、貴方とともに
アミリアはつかつかとランバートに詰め寄った。



「何も今、アリソンを傷つけなくても!
最後くらい、あの子に優しくしてやってもいいんじゃありませんか。」



ひそひそとまくし立てると、ランバートは嘲るように笑った。



「最後くらい、俺の不満をぶちまけてもいいじゃないか。
愛しい妹を傷つけられるのを長年見てきたんだ、最後くらい言い返したって…。」


「アリソンもお兄様の妹ですわ。」



ランバートは苦しそうな顔をした。



「…あいつがもう少し可愛げのある奴だったらよかったな。」



言い募ろうとしたアミリアを制すように、ランバートは言葉をかぶせた。



「わかってくれ、ミア。
俺もあいつを好きになろうと何度か努力したが、そのたびにあいつはお前の悪口を吹き込むんだ。
俺にとって大切なのは、お前のほうなんだよ、どうしたって。」



ダニエル、とランバートは踵を返した。



「そろそろ、行くぞ。」



その言葉に、アリソンが泣き出す。



アミリアは怖くて振り返れなかった。



3人分の足音が、遠ざかっていく。



しばらくして、窓の外で行列が組まれるのが見えた。



丘のはずれにある祭壇に向かうのだ。



馬にまたがったランバートは、さっと窓から覗いているアミリアを見た。



しっかりと目が合う。



数秒ののち、ランバートが号令をかけ、列が動き出す。



アミリアはもう二度と見ることがないであろう妹を、最後まで見送った。












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