心はいつも、貴方とともに







「アミリア姫はお疲れで、床に臥せておられます。」



何度行っても、アミリアに会わせてもらえなかった。



あの後、国民の前に姿を見せたときはいつものしゃんとした姿だったのに。



迎えに行ったときにはもう彼女の姿はなくて。



部屋を訪ねても、既にお付きが回りを取り囲んだ後だった。



「せめて、一目会うことは…。」


「お疲れです。」



気難しそうな彼女が頑として譲らない。



無理を言っていることはわかっているのだが、あまりに冷徹な態度に苛立ってだんだんジークも引き下がれなくなってきた。



「私はアミリア姫専属の騎士です。
王子から護衛を仰せつかっています。」


「私は姫専属の乳母です。
私は国王から姫の世話を仰せつかっております。」



ぐうっとジークを喉を鳴らした。



くそ、国王の方が権力が強いんだから逆らえないじゃないか!



今、国政を担っているのは王子なのに。



権力争いをしている場合ではないのだが悔しくてしかたない。



じりじりとしたにらみ合いが長期戦に突入しかけていたその時、扉の奥から聞き覚えのある声がした。



「おどきなさい。」



憎たらしい顔をしていた彼女は、はっと居住まいをただす。



「しかし…。」


「おどきなさい、見苦しい。」


「はい…。」



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