心はいつも、貴方とともに
休暇でももらって、親元へ帰るのかしら。



そういえば、彼の家族についての話は聞いたことがない。



仲がいいのかしら。



兄弟は、いるの?



鎧をまとっていないジークの姿が想像できず、無理矢理に服を着せてみると想像上のその姿にもときめいてしまう。



一人、頭の中の妄想に浸っていると、ジークがさらに悪戯っぽい笑みを浮かべて、顔を覗き込んできた。



「楽しいさ。
ミアも行くんだから」



その言葉の意味が理解できず、きょとんと首を傾げる。



ジークはその反応が楽しいらしく、無邪気に笑っている。



「どういうこと?」


「抜け出すのさ。」


「抜け出す!?
そんな…。」


「ランバード様のお許しももらっている。」


「………。」



お兄様なら、許してくれるだろう。



あの人は、厄介事は全部自分で抱え込んで、それでも私のことを思いやってくれる。



嬉しい半面、申し訳なく思う。



「今、ミアが何を考えているのか、俺にもわかる。」



アミリアはゆっくりとジークを見上げた。



その顔は何とも言えない哀愁をたたえている。



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