心はいつも、貴方とともに
こんなに美味しいものがあったのね、とアミリアは幸せそうだ。



それを見ているだけでジークも幸せだ。



あぁ、出逢った頃はこんな瞬間が訪れるだなんて思いもしなかったなぁ。



約束していたジークの生家に向かいながら、ジークは始終アミリアを盗み見した。



時々、アミリアも同じようにジークを盗み見るので、その時は二人して吹き出す。



中心地から少し離れたところに、育った家はあった。



レンガ造りの古風な家を、アミリアは大きな目を見開いて見上げた。



「ここが、家。」



小さな唇がそう動いた。



「城と比べるとあれだけど…。」


「ううん、素敵な家。

手作り?」



いびつな形のレンガで造られた花壇を指さし、アミリアはジークを見上げた。



「あぁ。
その…父が。」


「風情があって、いいわね。」



自分たちで作ったものが家の一部だなんて、とアミリアはジークを羨む。



そうも感動されると、悪い気はしない。



しばらく、二人は門の前に立ってただ全体を眺めていた。



こうしていると、胸にいろいろな思いがこみ上げてくる。



軍隊に入る朝、自分を見送った両親の姿が鮮明に思い出される。



二人とも、元気なんだろうか。



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