心はいつも、貴方とともに
つられて自分も涙しそうになり、またもや茶化してしまう。



「これが一生分の幸せだなんて、どれだけつまらない人生なんだ、ミア?」



答えはなく、首に巻きついた腕の力が一層強くなった。



たまらず、ジークは顔を歪めた。



「そんなこと言うなよ、ミア…。」



そんなこと、言うな。



君には幸せな人生が待っているはずなんだ。



待っていなきゃ、いけないんだ。



幸せになってほしい。



いつか結婚したら、その男のことを心から愛してほしい。



自分を忘れるほどに、愛してほしい。



もし一緒にいられるのなら、そっちのほうが勿論いいのだけれど。



「ミア、愛してる…。」



返事は、またなかった。



しかし絡みついた腕の強さから、彼女のありったけの気持ちが伝わってくる。



あぁ、なんて愛しいんだろう。



あぁ



…なんて、切ないんだろう。
















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