心はいつも、貴方とともに
第四章
a critical situation
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戦争が始まって、1年が経とうとしていた。
開戦直後から、自国側の不利は目に見えていた。
ごくごく小さな王国と、軍事力によって国土を押し広げてきた相手国。
それでもここまでもっているのは、ひとえに兵たちの尽力のおかげだ。
兄のランバートも、司令官として毎夜遅くまで戦略を練っている。
しかし残念ながら、状況は悪化していくばかりだ。
そのせいか、アミリアとしては、もう何十年も経ったような気分だ。
今日も窓のない部屋で意味もなく時間をただやり過ごす。
ジークは、ここ最近、帰っていない。
アミリアはゆっくりと、5本目の指を折り曲げた。
「今日で、5日…。」
口にして、怖くなった。
ジークが人員不足で伝令係に駆り出されて、もうそんなに時間が経つ。
なんの連絡もない。
お願い、無事でいて。
私は何も望まない、ただ貴方が無事でいてくれさえすれば…。
ジークの留守中、付き添ってくれている侍女のマリアは、無言でそんなアミリアを見つめていた。