心はいつも、貴方とともに
現れたジークは5日前と比べて多少やつれてはいたが、怪我はなかった。



「ただいま、戻りました。」



そう言う声に疲労がうかがえたが、笑顔を浮かべていたので安心できそうだ。



気を利かせ、侍女を伴って出ていってくれたマリアに感謝しつつ、アミリアは無言でジークに抱きついた。



よかった、本当によかった。



「無事に帰って来るって言っただろ。」


「言うだけなら、誰でも言うわ。
帰って来れるかどうかは、誰にもわからないんだから、怖いんだから!」



もうしばらくは出ていかないよ、と言うジークに、アミリアは食って掛かった。



「しばらくってことは、また行くの!?」



不安でしかたがない。



いつ彼を失うことになるのかと、毎日不安で仕方がないのだ。



それをわかっているジークも、その言葉に真顔になった。



「俺は、騎士だ。」



その言葉に、ジークの誇りと覚悟が見え、アミリアは怯んだ。



言うべきではないとわかっていたからこそ、刺された気分になる。



「悪い。」



ジークもジークで、そこは譲れずついかっとなってしまう。



お互いに気まずくなって、しばらく沈黙が続いた。



「ひとまず、状況は落ち着いたよ。
補給路もなんとか断たれずに済んだし。」



アミリアにはさっぱりな話だが、良いことらしいので素直に頷いておく。



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